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このページのゴール

「M5stickCplus2を腕に巻くための筐体を作成する」

今日のねらい

  • 普段使っている腕時計のベルト部分を利用します。
  • M5stickCplus2の本体サイズを正確に計測します。
  • 使用するベルトの取り付け部分の幅も計測します。
  • M5stickCplus2とベルトの両方を繋ぐパーツをデザインします。
  • 3Dモデルを生成し、3Dプリンターで出力します。
  • 実際にベルトに通して装着してみます。

1. 完成形をイメージする・イメージを書き出す

以下の写真のように、腕時計用のベルトに繋がった土台にM5stickCplus2 をマウントできるようにします。※ この商品を参考に作ります

頭の中のイメージをペンで書き出してみます。個人的にはプロトタイピングで必須な作業かと思います。※研究コンセプト作りでも私は絵を描きまくります。
※絵が下手ですがそこはスルーしてください。特に訓練も積んでません。。

1. 計測

まず、M5stickCplus2とベルトのサイズを測ります。

M5stickCplus2の計測

とはいえ、M5stickCplus2は製品サイズが公開されています。

これに合わせて以下のような挟みこむ形のケース(白い部分)でも良いかもしれません(調べていると出てきました)。
しかし、腕時計タイプの場合だと、ランニング時など激しく腕を動かした際に外れて飛んでいってしまうかもしれません。

なので、側面にある窪みに差し込むようなタイプの土台を作成していきます。

以下のように差し込みます。

ということで、追加で以下部分の長さを知る必要がありそうです。
ノギスや定規などを用いて測っていきましょう。

ベルトの計測

まずはベルトの幅を測ります。

ベルトのピン周りも計測しておきましょう。※中心のピンの直径も

計測した値はどこか見えやすいところに置いておいてください。


2. 3Dモデルをデザインする

計測した寸法を元に、Tinkercadを使ってデザインしていきます。

デザインのポイント

  • M5stickCplus2がぴったり収まるように、計測した寸法より少しだけ余裕を持たせます(0.2mm〜0.5mm程度)。
  • ベルトを通すための穴を開けます。ベルト幅に合わせて、ぴったりとフィットするように設計します。

※ ここからは経験がものを言う気がします。一応作成までのステップは紹介しますが、土田はモデリング経験が浅いので、もっと上手いモデリング方法はたくさんあると思います。得意な方は、以下nステップに拘らずに進めてもらっても構いません。

土台基礎づくり

まずは土台の基礎から作成していきます。
今回は足し算のイメージで作っていこうと思います・

削り出し前の立方体のサイズを決定します。
土台の厚みは4mm(widthD)で、ベルトを掴む部分の長さは4mm(widthD)、M5を掴むフックの厚みは1.5mmと決定しました。

それでは立方体をTinkercadに設置してサイズを調整しましょう。グリッドは1.0mmにしてます。

ベルト留めづくり

ベルトが繋がる箇所(青色部分)を削っていきます。

W(幅)は余裕を含めて20.5mm(widthC)、D(長さ)と H(高さ)は適当に大きくした立方体の穴を設置する。
4mm(widthD) 移動させて、整列を駆使して中心を合わせ、ユニオングループ化で削ります。

反対側も同様に。設置面を使って、確実に面に設置させたり。こちらはルーラー使ってません。

ベルト金具部分が入る穴を開ける

次は、金具の棒部分が入る穴を作ります。

直径大体1mm、長さ2mmくらいの穴を開けます。

直径1mm、長さ2mmの円柱の穴を置いて、移動させて、削ります。全部で4箇所。
※ 考えてみると穴の深さは気にする必要なかったですね。直径1mmのとても長い円柱を作って、中央合わせする方法が楽だと思います。

M5留めづくり

次はM5を留めるフック部分を作ります。

長さ1.5mm、幅30.5mm、高さ7mm(heightB)の立方体を作成し、凹んだ部分の面に合わせて設置、ユニオングループ化しましょう。

次にフックの先部分ですが、長さ2mm、幅30.5mm、高さ08mm(heightA)、のお山を作りましょう。
基本シェイプの円形屋根が良さそうです。

フックの上部面と中央を整列機能でまず合わせ、

凹んでいる側面に沿わせて、

ユニオングループ化しましょう。

あとはwidthAの幅に合わせて、削っていきます。

立方体の穴を、幅16.5mm(widthB)、長さと高さは大きく設定し、上に4mm移動させて、整列機能で中央に揃えてから、ユニオングループ化しましょう。

フック幅を3mm(widthA)残して、残りを削りましょう。

反対側も同様に削りましょう。

腕の丸み

最後に腕の丸みを考慮して、ちょっだけ底面を削ってみましょう。

円形屋根を置き、90度回転させて、高さ1mm(3mmくらいが良いかも)、幅30.5、長さ35.5で削ってみましょう。

※(追記)若干割れやすかったので、根本を2mm程度補強しておくと良さそうでした。もしくは積層方向を変えて、立てて出力しても良いかもしれません。


※ (追記)出力時間削減のために、土台中心部分はいくつか穴を開けておいた方が良さそうです。幅10、長さ10で4つほど穴あけ。

これで完成です!お疲れ様でした!

エクスポートから.stlファイルを出力し、ダウンロードしておきましょう。


3. 3Dプリンターで出力する

デザインした3Dモデルをスライサーソフト(Bambu Studio)でスライスし(G-codeに変換し)、3Dプリンターで出力します。

ここは前回と同様ですので、説明は省きます。

以下のように無事出力されましたか?


4. 完成・装着

プリントが完了したら、サポート材を取り除き、いよいよM5stickCplus2をはめ込み、ベルトを通してみましょう。

  • M5stickCplus2がスムーズにはまるか確認します。きつすぎたり、ゆるすぎたりしないかチェック。
  • ベルトがしっかりと通せるか確認します。
  • 実際に腕に装着してみて、使い心地見た目を確かめます。

5. まとめ

今回のプロジェクトでは、M5stickCplus2を腕に装着するための筐体作りに3Dプリンターを活用しました。しかし、3Dプリンターの可能性は、単に何かを固定する「ケース」を作るだけにとどまりません。

以前オープンキャンパスにて、ある生徒さんから「3Dプリンターって、何かを固定するものを作るためのものですよね?」という質問を受けました。しかし、3Dプリンターを使えば、全くのゼロから、あらゆる種類のモノを作り出すことができます。

Bambu Studioのオンラインモデル(テンプレート)を見てみてください。
世界中のクリエイターが公開している無料のCGモデルが大量にあり、3Dプリンターの用途がいかに多様であるかを実感できるはずです。

プログラミングと同じように、3Dモデリングでも「既存のテンプレート」をうまく活用することが重要です。

オンラインでダウンロードできるテンプレートファイル(例:.3mfファイル)は、Bambu StudioやTinkercadなどのソフトウェアで編集が可能です。必要な機能を持つパーツをいくつか見つけて組み合わせれば、自分だけのオリジナルのガジェットを簡単に作ることができます。
ちなみ.3mfとしてダウンロードした場合、Bambu Studioの「ファイル」→「エクスポート」から.stlファイルとして出力できます。あとはTinkercadの「インポート」で取り込むことができます。Tinkercadの方にもたくさんのテンプレートが転がっています。

例えば、「m5stick case」と検索すれば、様々なデザインのケースが見つかります。急いでいる時や、アイデアを試したいだけの時は、こういったテンプレートをベースに、足りない部分はテープなどで仮留めだけでも十分です。個人的にはまず実際に作って試さないとデザインの改善は難しいです。


本日の課題

  • M5stickCplus2とベルトを嵌め込んだ筐体を実物を持ってきてください。
  • (任意・加点)LEDストリップをどのように装着・固定するか?
    • 今回の筐体とセットで、LEDストリップを固定するためのパーツをデザインしてみてください。出力して次回授業開始時までに、実物を持ってきてください。